忍者ライターの取材日記ロングステイ編パート5
まさかのうつ病の発症
憧れのロングステイ生活で幸せを育む夢を求めて家もすべて処分して異国の地へと飛び立ったが僅か3か月でロングステイ生活に終止符を打つというあり得ない結末が待っていたというこのご夫婦の夢物語。
聞けば聞くほどインポッシブルが漂う物語なので3か月でロングステイ生活に終止符を打つのも充分理解が出来た。
さて、これから先、A氏は何を語るのでしょうか。
周辺国へも観光に行ったそうですが、奥様は喜ばなかったのですか。
「それもまったくの逆効果だった、女房は青い海を想像していた人間なので、東南アジアの泥の川や汚い海を見て幻滅したのです。こうして、すべてが汚らしく感じるようになってしまい、食事も喉を通らなくなってしまってね」
とうとう奥様は鬱を発症する
さらにため息をはくとA氏の神妙な言葉が続いて行くのでした。
「私に対して罵詈雑言をまくしたてていた女房が今度はなにもしゃべらなくなってしまったのですよ」
いやはや、毎日の言い争いが高じてしまい、奥様はとうとう鬱を発症してしまったそうなのでした。
「女房は一日中ベットに横たわったままとなり、私が買ってきた日本食の豆腐やみそ汁を口にするだけとなり、見る見るやせ細ってしまったのです。これはマズいと病院へ行くも日本語が喋れる精神科の医師などはいないので、わけのわからない処方薬をもらうしかないのです」
3か月でリタイアは余りに早すぎと思ったが、これでは3か月でリタイアしてもおかしくはない。
「あせった私は、ここで唯一の日本人の知り合いである日本人会に所属するC氏のもとに駆け込んで切迫した実情を話して相談したところ、奥さんの命が大切なので、即刻、帰国をしたほうがいいと説得されたというわけです」
それにしても、相談できる人がいてよかった。
「このC氏によると、私たちのようなケースは頻繁に起こっているというのです。やはり、移住してみたが水が合わないという人は多いようなのです。そのC氏からは所有した高級コンドミニアムも叩き売りすれば処分が出来ると指南をしてもらったのです」
こうしてA氏夫妻は僅か3か月でロングステイ生活に終止符を打つこととなってしまったのです。
せっかく家を売り払って購入した高級コンドミニアムも叩き売りで処分するしかなくなってしまい、一度もスローライフを実践することもなく、逃げるように日本に帰国して行ったのでした。
この夫婦の決定的ミスは、業者任せの1度の下見しかしていないことなのです。
そうなると、見学したのは購入するコンドミニアムのマンションとその周辺地域とゴルフ場が主流となり、あとは観光施設を巡るだけとなるのです。
それでは現地の生の生活実態を見抜くことなど出来ません。
こうした商売っ気丸出しの場合、負の側面は一切見せないのです。
ここから問題となるのは戻る場所、A氏の場合は住まいを処分してピリオドを打ってしまったので帰る場所もないのです。
それでは明日は夢のロングステイのはずが、まさかの熟年離婚となってしまった最終章です。
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