忍者ライターの取材日記ロングステイ編パート6
幕引きは熟年離婚
憧れのロングステイ生活の筈が、一度もスローライフの生活を味わうことも叶わず、あろうことか、鬱病を発症してしまい、僅か3か月にして帰国の途についたA氏ご夫妻。
退路を断ってロングステイを決断したこのA氏夫妻には帰国しても奈落の道が待っていたのでした。
それでは夢のロングステイが悪夢となってしまった最終章です。
考えもしなかった熟年離婚
幸せを育む筈のロングステイによって夫婦が崩壊するというまさかの事態に陥ったA氏夫妻。
日本に帰国したその後は、奥様は息子夫婦と同居することとなり、A氏は簡易ホテルを転々とする中で、相模原のアパートに辿り着いたのでした。
親戚などの意見を聞かずに、日本さらばと大見得を切って断行した手前もあって、帰国していることは誰にも伝えていないというのです。
A氏は、すべては自分の浅はかな考えが招いたことと反省の意を示すのですが、こうなっては、もはや奥様との関係も修復などは不可能となってしまい、取り返しのつかない事態となってしまったのです。
こうして熟年離婚という最悪の展開と相成ってしまったというわけです。
残ったお金は奥様の治療のために託したことで、A氏の懐は文字通りスッテンテンの状態と成り果てたのです。
こうしてA氏本人は縁もゆかりもない神奈川相模地区の築40年のアパートに一人住まいというカップラーメン食が主体の落ちぶれた悲惨な生活を送るはめとなってしまい、ゴルフ三昧の夢を描いた老後の計画は完全に破綻してしまったのです。
聞くところによると、このA氏は高校を卒業と同時に一流メーカーに就職し、以降馬車馬のように働き続けたことで、一時は部長職にまで抜擢されたそうなのです。
このA氏、気の毒なことにこの取材の2年後に68歳で他界したそうです。
ゴルフ三昧の夢を描いたはずが、ロングステイの失敗によってすべてを失い、カップラーメン三昧で命を縮めることとなってしまったのでした。
奥様や息子にも三下り半を突き付けられてしまったことで、A氏の亡骸はこのケースの常套パターンとなってしまい、ミイラ状態で不動産屋に発見されたのでした。
私が取材した中では、田舎暮らしをリタイアした方も同じようにカップラーメン三昧でミイラ状態で不動産屋に発見された方がいるのです。
その話はまたの機会にさせて頂くとして、これは日本の企業戦士の哀れな末路を彷彿する出来事と言ってもいいかも知れない。
組織に支配されてきた日本人は本当のライフワークスタイルを送る方法を知らないからです。
何とも虚しく切ない話、このようなケースは、ロングステイだけではなく田舎暮らしでも当て嵌まる話なのです。
コメント