高齢者の第二の人生の選択肢として自給自足はありか
今回は定年後のトレンドとして注目される第二の人生の選択としてハードな自給自足の生活を夢見るという思考に言及してまいります。
高齢者の自給自足は実際に実践している方々も存在することで、その可能性と葛藤模様について簡単判りやすくその実情を記してまいります。
自給自足での開拓精神は永遠のロマン
それにしても、日本人は何故、自給自足に魅せられるのでしょうか、それは自給自足には未開の原野を開拓するという憧れを彷彿させるのでロマンを生むからです。
このロマンの礎は、何もない広大な平原や荒れ地に踏み込み開拓するという北海道蝦夷地の開拓や満州の大地の開拓、南洋やブラジル移民の歴史など、日本人は古くから未知の世界に踏み込み自給自足の生活と共に大地を開拓して来た歴史を持つ民族だからです。
こうした未知の新しいことに挑戦するという精神は現代のビジネスの世界にも通じることなのです。
そうしたことで、定年を機に都会生活におさらばして自然の大地で自給自足の生活の夢を持つという人は意外に多いのです。
いやはや、いくら何でも自給自足生活ともなると、リタイア後にその火中に入り込むのはハードルが高過ぎますよね。
定年後の自給自足は年金族の勘違い
しかしながら、どうしてこうした感情に晒されるのでしょうか。
それは自分の趣味や好きなことを実践する場合、好きな世界に入ったのだから少々の辛さは我慢しようと常に前向きに捉えることが出来るからなのです。
だから、自分自身に言い聞かせ、納得することができることで、挫折しても後悔は少ないと捉えているのです。
しかしながら、私が見て来たケースだと、夢を実現したご本人は満足そのものでしたが、ご家族たちは不快そのものと言う感じになるのが定番のようだったのです。
何より年寄りの場合、ハード感が増すものは、毎度申し上げる健康寿命の問題もあり時間が限られてしまうので、自己満足できる期間も非常に短くなるのです。
まあ、年金生活の余裕があるのであれば、最後の夢なので思う存分に好きなことに挑むことは大いに結構なことです。
ただし、それが自給自足の生活ともなると、そのユル形態では幸せを育むことは中々難しいことになるのです。
こうして、自給自足だったらお金も掛からずに趣味と実益で勝負できると、安易に踏み込んでしまう人が多いのです。
しかし、実際は自給自足どころか、出費ばかりが嵩んでしまい、気が付いたら老後資金の半分は使い果たしてしまったという残念なケースが非常に多いのでした。
自給自足生活の場合、その土台と言うべきベースを築くのに難儀を伴なうので、基盤が落ち行くまで下手すると3年がかりというケースもあり得るからです。
何より、自給自足生活は食料もケチった生活となるので、年寄りの場合、栄養が行き届かなくなるので体力の消耗も顕著となってしまうのです。
こうして、その間にどんどん体力は落ちて行き、当たり前であったことが徐々に出来なくなってくるのです。
何と言っても、自給自足生活は体力勝負だということ、こうなると、始めの内は気分爽快であった薪割りの作業も季節の変わり目と共に苦痛のものとなって行くのです。
病院もない僻地にいて、体力ばかりが落ちて行く日々となり不安ばかりが頭をよぎるのです。
自給自足生活はこうして、70歳を過ぎると完全に先が見えてきてしまうという世界なのです。
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