トランプ大統領の強気は「シェール革命」にあり
「掘って、掘って、掘りまくれ」
UAE脱退劇はトランプ大統領へのプレゼント

UAEアラブ首長国連邦のOPEC脱退のニュースは世界中を駆け巡ったのです。
これで得をするのは、アメリカトランプ大統領なのです。
中東の原油市場の権益を一手に握るOPEC の弱体化こそは渡りに船のことで、UAEは、トランプ大統領への助け舟と言っていいでしょう。
原油価格に関する国際カルテル組織であるOPECの決めたことは絶対だったのです。
OPECはひと頃と比べると力は落ちましたが、未だ強大な権力を握る存在です。
ということで今回も昨日に続き、UAEの唐突なOPECからの脱退劇とトランプ大統領の中東での強気を支えるシェール革命の実態などをいつも通りの雑学タッチとオチャラケを交えて簡単判りやすく解説をしてまいります。
燻っていた不満が一気に爆発UAE脱退劇
昨日も触れましたが、ホルムズ海峡が封鎖されたことで、世界中でガソリン価格の高騰を招く結果となってしまったわけですが、トランプ大統領は、OPECに対して石油を増産することで価格を調整するよう迫っていたのです。
しかし、相手がOPECとなると、アメリカの働き掛けでも一筋縄ではいかない状態だったわけです。
そうした中で起きた唐突といえるUAEの脱退劇はトランプ大統領への大きな援護射撃となったことは間違いのないことでしょう。
そもそも、UAEはサウジアラビア主導で決められるOPECでの原油の割当量が少なすぎると不満を漏らしてきたのです。
それは、UAEの生産枠は1日当たり300~350万バレルと制限されていたからです。
UAEの思惑は、1日500万バレルなので、大きな隔たりがあったのです。
OPECが決める生産枠は、UAEだけではなく、他の加盟国からも不満が出ていたのです。
それこそUAEのOPECからの脱退は、下手するとドミノ倒しとなりかねないのです。
OPECの力が弱まることは、アメリカだけではなく、OPECと対立して来たロシアも大歓迎というわけです。
そしてそれは日本も同じで、UAEがOPECを脱退したことによって、OPECの制限を受けないことで、UAEとの直接取引は、日本市場にかつてない量の原油が流れてくることになるからです。
トランプ大統領の強気は「シェール革命」
それにしてもトランプ大統領のイラン攻撃を中心とした中東戦略での、この強気は一体どこから来るものなのでしょうか。
トランプ大統領のあの強気と余裕、ここで判ってくるのは、アメリカの中東での政治スタンスは大きく変化しているということなのです。
その一番の背景にはアメリカ本土で供給出来る「シェール革命」が絡んでいることは間違いないことでしょう。
そう、もうトランプ大統領の頭の中は、中東の原油より自国のシェールガスなのです。
ここに来てトランプ外交ではシェールガスの共同開発と売り込みが積極化してきたのです。
高市総理との日米首脳会談でもアラスカでの天然ガス資源の共同開発とアメリカ国内のシェールガスの供給の存在が挙げられていたのです。
技術革新によってシェールガスの実用化が実現
「シェール革命」は、エネルギー分野における21世紀最大の変革であると言われ、これが実現すれば、世界のエネルギー事情を激変させるだけでなく、世界の政治状況にも影響を与えるほどの世紀のインパクトであるとして大注目を集めたのです。
シェールオイル・シェールガスとは、泥土が水底に積み重なって固まったもので、板状にうすくはがれやすい泥岩のことで、同じ層に原油と天然ガスが埋まっているのです。
しかし、シェールガスの採掘にはコスト面などの様々な課題が残されているので余談は許されないのです。
それはシェール革命として期待されブームとなった初期に住友商事をはじめ多くの日本企業が参入しましたが、失敗に終わっているからです。
採掘には予想以上の難題を伴うことが判って、コスト面を考えると製品化しても収益を上げることは見込めないと判断し撤退に踏み切った経緯があるのです。
しかし、2004年の原油価格の高騰によって、原油価格に連動していた天然ガス価格も大きく上昇し、シェールオイル・シェールガスの生産は採算に見合うものとなったのです。
こうしてシェールガスの開発は最速のペースで一気に進められることになったのです。
トランプ大統領の頭の中は「掘って、掘って、掘りまくれ」
トランプ大統領が大統領選のキャンペーン時から「掘って、掘って、掘りまくれ」と何度も発言していたことは記憶に新しい。
この「掘って、掘って、掘りまくれ」のキャッチこそはトランプ政権が打ち出したアメリカ本土でのシェールガスのエネルギー政策なのです。
「シェール革命」によって、アメリカはもう中東に頼らず自国で化石燃料生産を賄うことが可能となったのです。
今回のイランとの戦争を見ても、今迄のケースでは、アメリカの全面介入によって中東情勢の安定化を進めてきたのですが、それがアメリカのスタンスは大きく様変わりしてしまい、武力攻撃をイスラエルに主導させ、地上戦を避けた戦略対応に終始してきたのです。
本来こうしたケースでは、アメリカの場合は大国の威信をかけて挑むので、明らかに今迄のアメリカの戦略とは異なります。
そうなるともう中東地域を特別な地域として見ないと宣言しているようでもあるわけです。
トランプ大統領の計算通りのOPEC弱体化
今回のUAEのOPEC脱退は、トランプ大統領の計算通りのOPEC弱体化のシナリオとなって来た感があるのです。
ここのところのアメリカの動きは石油の利権を巡って深入りし過ぎた中東から一線を置こうとしているようにも見えるというわけです。
ここでトランプ大統領は賭けに出たのです。
イランに残された唯一の報復手段は、ホルムズ海峡の封鎖しかないのです。
それを想定内に入れていたことは確かなこと、しかし、今のアメリカにとってホルムズ海峡が封鎖されたとしても、シェールガスの生産によってアメリカ自体が大した被害を被ることもないのです。
イランは結果的にホルムズ海峡を封鎖したら輸出が出来なくなってしまい、自分で自分の首を絞めてしまったのです。
もはやホルムズ海峡の封鎖は、イランにとって、起死回生にも一発逆転にも繋がらなかったのです。
ホルムズ海峡が封鎖されれば原油は一気に高騰するので、そこで得をするのはロシアであり、シェールガスを持つアメリカなのです。
「シェール革命」は、アメリカのエネルギー源を支えていることは証明されているので、今回の中東危機でも大いに抑止力を発揮したことは確かなことです。
それにしても、資源無き日本の場合、原油資源はどこからでも欲しいのです。
日本にとってアラスカの天然ガスやシェールガスの存在は、渡りに船の話なので、とても身のある話だし、UAEの脱退でドミノ倒しとなれば、今迄は強気一辺倒だったOPECが日本に擦り寄ってくる可能性もあるのです。
まあ、それにしても、シェールガスの存在がなかったら、ここまでの大胆な作戦は実行できなかったことでしょうね。
2026年は何が起こるか判らない、OPECが弱体化することで、日本の資源戦略も大変革を遂げることになるのです。
忍者ライターの久保誠が「デュラルライフ」「田舎暮らし」「シニアライフ」「スローライフ」「海外ロングステイ」の情報と「雑学のすすめ」を主題として、ソフトタッチに日々の出来事、経済、国際情勢、政治、芸能、歴史のウンチクなどを語ってまいります。




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