テレビ朝日「1泊家族」の自給自足とターザン少年はやり過ぎ
テレビ朝日の「1泊家族」というバラエティー番組で紹介されたターザン少年の存在は現代社会からするととても異質なものでした。
でも、これを鵜呑みにしてしまうととても不味いのです。
この「1泊家族」というバラエティー番組で紹介されたのは、秘境の地で自然と触れ合い自給自足と自由奔放な秘境生活を送る少年の姿を描いたもので、その秘境の場所となったのが神奈川県の松田町なのでした。
秘境と言っても、松田町は東京都心から1時間で行き来が出来てしまう土地だし、人口も1万人以上も存在するという人が多く住む街で、しかも、二つの鉄道駅も擁しているのです。
ここはまさしく、私が提唱する便利と自然が共存する理想的なハーフビレッジ(半田舎)そのものなので、松田町への移住は大いに奨励したいものなのです。
ハーフビレッジ(半田舎)は自給自足には相応しくない
でも、ここを自給自足やターザン生活が送れるような秘境と紹介するのもかなりの無理があるというわけです。
確かに松田町は森林地帯に入ると手つかずの希少価値の自然巡りが出来る地域ではありますが、人口1万の住民も存在することで地域のモラルと秩序も確立された地なので、決して自由気ままな秘境生活や自給自足生活を送れるという場所ではないからです。
現代社会でいう自給自足生活はあくまで自己満足であり自己責任の世界なのです。
そうなると田舎の集落でも自給自足生活は周りと波長が合わなくなるので、真逆のスローライフ生活などと一緒で自分勝手と判断されてしまうのです。
テレ朝では暮れの2回にわたって自然の中で生きるこの少年と自給自足で生きるファミリーの自由奔放な生活ぶりをクローズアップさせていたのでした。
しかしながら、思春期、青春期の子供を題材にするにはあまりに野放図な企画設定といえるものなのです。
ここに出て来る少年は、川を駆けずりまわって魚を捕獲する様子や一人で山に入ってキノコ採りをするという自然と一体化した自由奔放な姿が描かれていたのでした。
この光景をみると、私自身も小学5年当時に松田町と似通った多摩地域で5年ほど過ごした過去があることでとても懐かしく思えたものです。
でも、素足でごつごつした石だらけの川の中を全力で走る子供を見るのは初めてのことなので驚愕とともにとても違和感を覚えたのです。
というのは、日本の河川の殆どは常に鋭利な尖った石や流木の破片が流されてきて川の中の石の大きさもまちまちなので、とても滑りやすいのです。
そこを裸足で駆けずり回るというのは危険極まりないほどの行動なので、あれを見たら大人は直ぐにでも注意をしないといけない光景なのです。
また、険しい森林地帯に入り込んで中学生が一人でキノコ採りをするなどあり得ない光景です。
まあ、日常は親も同伴してのキノコ採りなのでしょうが、ご承知の通り今は昔と違って、山も川も危険地帯と化してしまい子供が安易に入れるものではなくなっているのです。
その彼は、地元の子供たちと交わりはなく、いつも単独行動で川で遊び、一人で山に入っているのです。
今の田舎の子供たちは学校からも親からも単独で山や川には絶対に行ってはいけないと固く禁じられているのです。
だから、松田町の子供たちがこれと同じことをやっていることはあり得ないのです。
松田町には、中学が一つしかないので、そこに通われているのでしょうか、それにしても、あの腰まで伸びた長髪の三つ編みの髪型で学校に登校するのは、他の生徒の風紀を乱してしまうことにもなりかねないので、多分彼は御家族の教育の基で通信教育という感じで学んでいるのかも知れませんね。
松田町あたりは古い集落が多いので、しがらみが未だに残る地域もあることで、あの頭で学校に登校したら地元の不良たちに目を付けられてしまいそうです。
これでお判りの通り、この番組を自然との共生が生み出す感動の番組だのともてはやすことは、都会人のエゴを誘うだけのこととなるのでとても危険なことでもあるのです。
何と言っても、子供であろうが、地元の子供たちを飛び越えてよそ者がここまで自由奔放をやってしまうと顰蹙を買ってしまうのは当然のことですよね。
テレビ朝日は、ステレオタイプで「自然の中で子供を伸び伸びと育てたい」というまやかしのまぼろしを未だに喧伝しているのです。
これこそは田舎の実態を理解しないオールドメディアならではデリカシーのないノー天気さなのです。
それにしても松田町に関しては、都会人にとってデュラルライフ生活や田舎暮らしを送るには最高のハーフビレッジ(半田舎)の理想の地なので、大いに推奨したいものです。
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