忍者ライターの取材日記:ロングステイ編パート1
ロングステイが熟年離婚となってしまった最悪の顛末
ロングステイやデュラルライフ生活、そして田舎暮らしなどは一生に一度あるかないかの一大イベントなのです。
しかし、マスコミや業者が作り上げるトレンドに安易に乗せられてしまい、地獄に落ちて行くケースは後を絶たないのです。
これからお話する海外ロングステイの実話は、デュラルライフや田舎暮らしにも共通することなので大いに参考となる筈です。
今回お話しする取材模様は、マスコミの誘導にインスパイアされることの危険性が顕著に浮かび上がるケースの一つともいえる問題です。
それでは私が過去にロングステイを諦めた要因の一つとなった、あるご夫婦の虚しい移住生活の話しをさせて頂きます。
ここで紹介する実話は、僅か3か月でロングステイ生活に終止符を打つこととなってしまったというご夫婦の話です。
これは私たちが東南アジアでのユートピアを探し回っていた20年近く前の出来事なのですが、某東南アジアでのロングステイ生活を断念して日本に戻られたご夫婦がいるという噂を聞きつけ、是非とも参考にさせて頂きたいと、友人と一緒に東南アジアから帰国して1年になるA氏を訪ねた時の話なのです。
それにしても3か月とは短すぎ、いやはや、一体なにが起こったというのでしょうか、そのあらましを取材してみました。
落ちぶれたカップラーメン生活の主を訪ねる
事前に了承を取ってA氏を訪ねた先は、神奈川県相模原の築年数がかなり経過していると思われる2Kの木造アパート、ここ相模原はA氏にとって縁もゆかりもない土地だそうです。
部屋はガランとしていてあるのはテレビと冷蔵庫とカップラーメンが入った段ボール箱だけ、その部屋の様相は、逃げてきた人の象徴ともいえる隠れ家そのものでした。
A氏は私たち二人を部屋に招き入れるとこちらから質問する前に力なくしゃべりだしたのです。
「あんたたちが聞きたいのは、なんで3か月で戻っちゃったのかということだよね」
とため息交じりで切り出すA氏。
「結局、マスコミのいい加減な宣伝のマインドコントロールに乗せられちゃったのさ、当時は気持ちばかりがハヤって日本さらば一辺倒の状態になってしまってね、戻る家のことなんて頭からスッポリと抜けていたんだよ、それが何と言っても致命傷だったな、今にして思うととんでもない軽率な行動だよな」
そのA氏は当時66歳、虚脱感に蔓延してしまったのか、こちらを見る目も焦点が合わなくてまるで夢遊病者一歩手前の状態なのです。
A氏のロングステイ計画のあらましを聞くと、物価の安い南国の某東南アジアの国を終の棲家と決め、そこで、ゴルフ三昧の悠々自適な暮らしの日々を満喫するという夢のシナリオを描いていたそうなのです。
そして、東南アジアは一年中常夏なので寒いのが嫌いな奥様もここに住めば大喜びするだろうと考えたのでした。
こうしてA氏はマスコミが作り上げる南国ユートピア伝説に完璧にマインドコントロールされてしまい、頭の中は東南アジアでの悠々自適なゴルフ三昧のスローライフ一辺倒となって行ったのでした。
この続きは明日に……。
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