地方創生の10年間の成果はゼロサムゲーム
地方創生の始まりでは、石破現総理が初代の担当大臣に任命され、「まち・ひと・しごと創生本部」を立ち上げ、華々しく幕を開いたのでした。
こうして、空洞化してしまった地方の経済を立て直す為に多額の税金を投下してあらゆる手立てを講じてきたのです。
しかし、それから10年後の結果はどうか、地方経済は一向に改善されず、少子高齢化も更に進み、一極集中も止まらなかったのでした。
そこには、決定的な地方の歪みである人口の問題が横たわっていたからです。
結局、人口減少に喘ぐ日本では、ビジネスのロジックも通用しないのです。
そうなると、地方は増田寛也氏がいうゼロサムゲームという人の分捕り合いで生き残って行くしかないのです。
見え辛い地方創生事業
民間の有志によって発足した「人口戦略会議」によると、全国の744の自治体が消滅の可能性があると発表したのです。
こうして、この10年間で「消滅可能性都市」だけは色分けされたのです。
それにしても、地方創生事業は巨額の税金を投資しながらも、その効果の実態が全く見えにくいのです。
それは自治体によって多種多様化したライフワークの実情もあってセーフティーネット自体もあいまいとなっているからです。
しかも、政府の担当役人や自治体の役人たちは、数年ごとに人事異動が繰り返されるので、政策自体も元通りとなってしまうケースも多いわけです。
こうなると責任の所在も常に曖昧となるのです。
まあ、これは役人の逃げの常套句でもあるわけなのです。
看板の架け替えでカムフラージュ
初代の担当大臣であった石破総理が提唱した「まち・ひと・しごと創生本部」は、その後「デジタル田園都市国家構想」に変わり、そして「令和の日本列島改造」となるのですが、これも政治家や役人の得意技である看板の書き換えという奴なのです。
結局、名前とニュアンスだけを変えただけなので中身の骨格は殆ど変わらないのです。
石破総理は、この10年間の地方創生事業を振り返って、悪しき難点を考察し、同じ轍は踏まぬよう丹念な研究をしてきたと強調するのですが、その後に出て来た新たな政策運営を見ると決め手となる斬新観はあまりないのです。
結局、今の実態だと地方創生事業は支援交付金ありきと成り果てているわけです。
支援交付金はあくまで一時凌ぎの刺激策でしかないものなので、支援交付金で持続性を期待する今のやり方はナンセンスそのものなのです。
それにしても、この10年間の地方創生事業によって、「消滅可能性都市」の実態を含め各自治体の姿はほぼ見えて来た筈なのです。
もはや、一律平等という予算の配分の考えはダメ、結果がまるで出ない自治体に税金を投下するのは血税をただただ無駄に消費するだけの悪しき行為、再生不可能な自治体は淘汰し合併統廃合も同時に進めるべきなのです。
国は、人が住みたい街と思う、新しい需要がある街作りを推進する自治体に対して積極的に支援を行うべきなのです。
こうした新しい需要の創出を図る自治体をサポートする為に政策ミックスを迅速に打ち出し、財政補助を素早く実施することが適切なのです。
明日は引き続き「消滅可能性都市」の実態を記してまいります。
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